聞き書き人の会(編著)、吉備人出版、本体500円+税、A5判並製本、72ページ、ISBN:978-4-86069-341-1、発行日:2013年1月31日
聞き書きは、語り手と聞き手が対話を重ねて、語り手の人生や思いを「話し言葉(聞き書き言葉)で文章化」していく共同作業です。そして、その時代に生きているひとりひとりの人生を「歴史」として記録していく取り組み--こうした趣旨で2011年春に発足した「聞き書き人の会」。岡山で「聞き書き」の技術を学び合い、聞き書きによる記録(作品)を次世代へとまとめた会員の作品集(創刊号)です。 聞き書きの実作のほか、エッセー、事例リポートを収録しています。【はじめに】より 「普通に生きた人たちが、人生で何を大事にしているのか、その人にとって一番の事件は何かなどをつないでいくと、より確かな歴史ができていく。つまり後世への贈り物が聞き書きによる歴史です。」――これはなくなった作家の井上ひさしさんが、日本聞き書き学会発足にあたって寄せた言葉です。「聞き書きというのは、話している人の言葉を使ってその人の雰囲気を伝え、書き言葉とはいえない不思議な中間の言葉で表現していくわけです。「聞き書き」は話し言葉でもない、書き言葉でもない、中間の談話体を作ろうとする大きな実験です。」とも書いています。 聞き書きは、語り手と聞き手が対話を重ねて、語り手の人生や思いを「話し言葉(聞き書き言葉)で文章化」していく共同作業です。そして、その時代に生きているひとりひとりの人生を「歴史」として記録していく取り組みでもあります。こうした思いを「思い」だけでなく、「かたち」にしようと思い立ったのが「聞き書き人の会」です。岡山で「聞き書き」の技術を学び合い、聞き書きによる記録(作品)を残して、次世代への贈り物にできたらという呼びかけに、10人近くの方が応えてくれました。会では、「聞き書き」技法を習得し、聞き書きによって地域の記録を残していくことを目指しています。
目次
- 【巻頭言】聞き書き人の会 発足にあたって
- 聞き書き/杉田家の話 廣瀬英子 エッセー/ふるさと 青山 静
- 聞き書き/あの時、広島で 近藤潤子
- 聞き書き/大正生まれの女の半生・・・・・・文屋種子のこと 文屋 泉
- エッセー/父の背中 小関俊樹
- 事例リポート/代表インタビュー 久本恵子
※聞き書きのワークショップのレポート。小関俊樹氏が副業で運営する、ネット古書店「本の便利屋せどりゃんせ」についての聞き書きのプロセスを掲載している。
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